一次創作 の記事一覧
  見送る不安  
2006.02.12.Sun / 00:00 

はじめに・・・
こちらの話は本編開始時より3〜4年程前の頃の話になります。
仲良し姉妹の妹目線でのお話。
一人称での文章書きは慣れないので(普段は三人称書き)、何だか書いていて違和感がありありでした(^^;)





 私には一つ年上の姉がいる。
 姉に対する世間の評価は、「真面目」で「優秀」。
 更に付け加えるとしたら、「可愛い子」で「優しい」。
 「可愛い」であるかどうかは個人の好みの問題だから省くにしても、姉は私にとって自慢であり尊敬する人物の一人だった。
 でも、そんなこと、絶対に本人の前では言えない。
 だって、姉がそのことで悩んでいることを私は知っているから。
 姉の肩に世間の評価は重すぎる。
 重すぎるけれど、姉にはその評価に応えられるだけの力があり、それが更に姉を苦しめているということに私が気付いている ―― そのことを姉は知らない。 

 人々の大半が寝静まった夜更けの頃、遠くから馬の蹄が石畳を蹴る音が聞こえてきた。
 それに合わせて、にわかに邸の中が慌ただしくなる。私もその慌ただしさに混じって玄関の広間へと向かった。
「ただいま」
 ちょうど広間へ着いた時、入口の扉が開いて姉が姿を現した。
「おかえり。遅かったね」
「んー」
 闇の中ではさぞ目立つだろう白い外套を脱ぎながら、姉は嘆息吐いた。その表情には明らかに疲労の色が浮かんでいる。
 でも、そのことを一切口にせず姉はすぐににこりと笑った。
「だけど、明日はゆっくり出来るからねー・・・全部終わらせてきた」
 脱いだ外套を側の従使が受け取る。
「母さんは?」
「今日は宿直。それより、早く着替えてきてよ。私、食事一緒に食べようと思ってずっと待ってたんだから」
「え、ほんとに!?」
 私の言葉に驚いて、姉は慌てて自分の部屋へ向かおうとする。
「下で待ってるから。早くしてね」
 姉の背中に言葉を投げて、私は側の従使に声を掛けた。
「私の分は少なくていいから、二人分食事用意しておいて」
「かしこまりました」
 本当は、私はとうの昔に食事を終えている。
 それでもまた食事を取るのは、姉がちゃんと食事を食べるようにするため。
 姉のことだから、こんな深夜に自分のためだけに食事を作らせようものなら、絶対に遠慮して作ることを止めさせるはず。だけど、仕事で遅くまで働いてきた人間に食事抜きで寝させるわけにはいかない。
「世話が焼けるんだから」
 だけど、姉の世話を焼けるのももうすぐ終わり。 姉は数日後にはここから遠く離れた地へと赴任することが決定していた。
 姉がこのところ帰宅が遅いのは、その準備のためだった。
 姉はまだ十六歳。普通だったら学校に通い友達と遊んで自由を楽しむ時期なのに ―― どうしてこんなに重い任務を背負わなくてはならないのか。
 だけど、それを突っぱねることは出来ない。
 何故なら、姉にその任務を背負わせたのは、国家中枢にいる高貴な人たちであり、その中には私たちの父も入っているのだから。

 着替えた姉が食堂に姿を現して、そのすぐ後に食事が運ばれてきた。
 私たちが生まれる前よりずっと昔からこの邸で調理に腕をふるう料理長が、姉の好みに合わせて作ってくれた、姉のための食事。
 姉もそれが分かってか、並べられた品々を見て嬉しそうに笑う。
「今夜はずいぶんと嬉しい物が並んでいるのね」
 この地方特産の魚介類のスープや魚の蒸し物、隣国から輸入された珍しい果物を使った焼き料理など。素材はほとんどが高価な物ばかりで、そう簡単には食べられないものだ。
「ねぇ、知ってる?」
 食事を始めると姉が尋ねてきた。
「この果物を焼いて食べるのって、この国だけの料理法なんだって」
「そうなの?」
 切り分けた料理をフォークに刺して目の高さまで上げると、その切り口を改めて見てみる。薄い小麦色に色づいた果肉に焦げ茶の小さな種が詰まっている。生だとこの種の渋みが強すぎて食べるのは困難であったし、かといって、種を取り除くのはその量からして不可能に近い。なので、加熱して渋みを消して食べるのが通常の食べ方だった。
「うん。隣の国では完熟した物を生で食べるだけなんだって。一度でいいから、生で食べてみたいよね」
「それって贅沢すぎ」
「だよね」
 完熟物を輸入することは輸送日数を考えたら不可能だ。食べたかったら直接隣国へ足を運んで食べるしかない。
「エルブールに行っても食べられるのかなぁ・・・」
 少し淋しそうに、姉はぽつりと呟く。
 私はそれに対して言い返す言葉を見付けることは出来なかった。

 食事を終えた姉がそのまま自室へと行ってしまったので、私も自室へと戻った。ほんとうは話したいことが山ほどあったけど、食事の最中でも欠伸の絶えない姉だったから、会話をしている最中には眠ってしまいそうに思えた。
 着替えて寝台に入ったはいいけどなかなか眠れそうにない。
「へんなの・・・なんでこんなに不安なんだろ」
 何故か胸騒ぎがしてならない。その胸騒ぎが眠りを妨げている感じがする。
 私たちの両親は、共に神院省に勤めている。そして姉自身も神院省に籍を置いている。
 私もいずれは神院省に勤めるために、今は魔法学校へと通い猛勉強の最中だ。
 神院省では知らない人はおそらくいないだろうと思われるくらい、私たちの家族は名を知られている。私たちの父は神院省を束ねる立場の人で、母も神院省での地位は高い。でも、そんな両親の知名度が霞んでしまうくらいに、姉の存在は特異なものだった。
 姉は小さい頃から優秀で、私はその妹として常に比較されていたけれど、幸いにもそこそこの実力を持っていたので姉に対して劣等感を抱いたり卑屈になったりすることはなかった。
 姉はいつでも妹の私に優しかったし、私も姉を良く慕った。私たち姉妹は仲が良いと思う。
 たった二人だけの姉妹。
 姉は常に一歩も二歩も前を歩き、そしてもうじき遠いところへ行ってしまう。
 まだ十五年しか共に過ごしていないのに、こんなにも早く暮らすところが別れてしまうことになるなんて淋しすぎる。
 姉も ―― この家を離れることを少しは淋しいと感じてくれているのかな?
(考えるのはやめよう)
 考えれば考えるほど、理由の知れない不安が大きくなっていく。それを打ち消すために自分に言い聞かすように口に出してみた。
「おめでたいこと、なんだから」
 そう、姉が遠くへ赴任するのは今までの努力と働きを認められたことへの、最大の恩賞なのだ。とても栄誉あることなのだから。
 姉がここにいられるのは、あと数日。
 それまで何をして姉との時間を過ごそう。
 そんな風に無理矢理気持ちを切り替えたら何となく気持ちが楽になってきて、私は眠りに就くことが出来たのだった。

〜 終わり 〜




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  うつつに在るおぼろ  
2006.02.06.Mon / 01:00 

はじめに・・・
物語開始のきっかけはここから始まった、と言ってもいいと思います。
この 「 うつつに在るおぼろ 」 の登場キャラクターは、本編では回顧シーンのみ登場する予定です。
時期的には、本編開始時期より20年程昔になります。
暗すぎる程に暗い話に出来上がったので、苦手な方はご注意下さい(><@)





鎧戸の隙間から射し込む光が、夜が明けたことを告げていた。
薄闇に閉ざされた部屋の中、遠慮がちに扉の呼び具が音を立てる。
「・・・はい」
 決まった時間に鳴らされる目覚めを促す音に、少女は小さく言葉を返した。
 か細く、とても扉の向こうにまで届きそうもない程の大きさの声だったけれども、少女が返事をするとゆっくりと扉が開けられた。
「おはようございます、姫様」
 そう挨拶をして入ってきたのは初老の女性。少女の身の回りを世話する、少女が唯一会話をすることが許された人物だった。
「おはよう、ご苦労さま」
「いいえ」
 短い会話のやりとり。
 少女が発する言葉も、女性が受ける返事も、その中には気持ちの一片も感じられない。当たり前のように女性は少女を世話し、少女は黙ってそれを受け入れる。その関係に、二人の感情は必要なかった。
 女性は持っていた少女のための服を棚に掛けると、一旦部屋の外に出て、すぐに盆に食事を乗せてやってきた。銀製の盆に乗せられているのは、豆のスープと手のひら程の大きさのパン、そして切り分けられた果物。質素過ぎる程の食事だったが、少女はそれで充分に思っていた。
「後ほど、下げに参りますので・・・」
 恭しく頭を下げて女性は扉の向こうに姿を消した。
 その姿を黙って見送った後、少女は窓の鎧戸を開けた。少女の胸の高さにある窓は、少女の肩幅ほどしか無く、高さも少女が顔を覗かせることがやっと出来るくらいの大きさだった。
 鎧戸が開けられ、小さい窓から精一杯の朝日が入り込んでくる。
 少女はその景色にわずかに微笑んだ。
 薄暗い部屋に光が差し込み、それまで支配していた静寂がなりをひそめた。部屋には自分一人しかいないけれども、側に光があるだけで自然と孤独感は薄れてくる。
 窓から離れると、少女は頭に巻いていたショールを脱いだ。目深に巻かれていたショールの下には、漆黒の闇を思わせる黒く長い髪が隠されていた。腰を超える程の長さの髪がさらりと垂れて少女の背を覆う。白く透けるような肌に漆黒の髪は、少女の姿を儚げな雰囲気に作り上げ生命の輝きをも覆い尽くしていた。
 事実、少女の体は病魔に蝕まれている。
 ―― すでに、何年も前から。

 少女が住むこの部屋は、塔の最上階にあった。外から見ても ―― もちろん内側から見ても、とても人が住むような建物には見えない。
 それもそのはず、塔は元々見張り小屋であり、少女のために人が住める程度に改造されたものだったのである。少女の部屋は石壁がむき出しになっており、触るとひんやりしている。真冬ともなれば、壁は氷のような冷たさを容赦なく放ってくるのだ。
 それについて、少女は誰に訴えることもなく、甘んじて受け入れている。
 不満を訴えても ―― 受け入れられないことが分かっているから。

 豆のスープは冷えた体をゆっくりと温めてくれた。パンは空腹を満たし、果物の甘みは心を穏やかにしてくれた。
 少女の食事を作ってくれるのは、これらを運び身の回りを世話してくれる女性だ。言葉も表情も少ないけれど、食事はとても丁寧に作られていることに、少女は気付きありがたく思っていた。
 食事を終えると器を重ね扉のそばにあるテーブルに置いた。
 棚に掛けられた服に着替えると、着ていた服をたたんで器の横に置く。
 今日もまた一日が始まる ―― 。
 ただ、時間の流れていくだけの一日が。
「・・・母さま・・・」
 日ごと弱々しくなる少女の声音。
 窓の側に寄り外の景色に目を遣る。まるで、眼には映らない何かを捜すかのように。
「私はまだ・・・ここにいなくては、ならないの?」
 窓の向こうの空に小さく投げかける。
 流れ込む風に艶やかな黒髪がさわりと揺れた。今にも切れてしまいそうに、細い髪。
 姿全体が脆く、今にも空気に融け込み消えてしまいそうな少女の姿は、見る者が見れば哀れで涙を誘うに違いなかった。
 いたいけな少女がたった一人、石造りの無機質な塔の一室でひっそりと生きながらえている。
 そのようにしか、見えない。
「・・・早く・・・お母さまに会いたい・・・」
 静かに訴えながら目を閉じた。
 声は震えているが、涙は出ていない。すでに、流れる涙さえ尽きてしまっていたのだ。
 肩を震わせ母を呼ぶ少女に、まるで慰めるかのように陽の光は暖かく降り注ぐ。

 少女が願うのはただ一つ。
 遠い地にいる母に会うこと、それだけだった。
 病魔に冒され生きる気力をとうに手放した少女に、安息の時が訪れる様子は ―― まだない。





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  【 Rosen Rada 】 について  
2006.02.06.Mon / 00:00 
「 ことのはゆうぎ 」 で一番の柱になるオリジナル小説です。
文章の長さ・登場人物の多さでも、やはり一番・・・ですね(^^;)
この準備館でも、【 Rosen Rada (略してR.R.)】 をメインにしていきますが、本編とは少し離れた短編(番外編)を中心に掲載していきたいと思っています♪





= 本編概要 =
 帝国には昔から、“地底の鍵(Rosen Rada)”と呼ばれる禁忌の存在がたびたび出現していた。
 “地底の鍵”は合わせて5人。
 全て揃えばその力は帝国に仇を為すと言われている。
 その存在を捜す為に、密かに皇帝の命を受けた皇太子が自らの親衛隊を率いて動き出します。
 主人公は、その親衛隊に所属する19歳の女の子です。

= 物語舞台 =
 ローグウェート大陸にある、大陸最大国家・神聖ローグウェート帝国が物語の舞台です。
 大陸には他に3つの国がありますが、物語には深く関わることはありません。

= 用語説明 =
 地底の鍵//
   異名:Rosen Rada
   神と精霊王の知恵と力を受け継ぐ希な存在。
   精霊王の特性に合わせ全部で5人いる。
 親衛隊//
   異名:Goode Allemms
   帝国の歴代皇太子が率いる集団のこと。現在は7人で構成。
   皇太子が皇帝になると解散し、それぞれ国家の主要職に就く。





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  唐樹異聞・香蘭  
2005.12.28.Wed / 17:46 
 《倶融》とはこの世界の礎となる大切な存在。
 これなくしては、この世界は成り立たない。


「・・・なぁんていうと聞こえはいいけど、実際は単なる生贄じゃない」
 ごろーんと川辺に寝転がって香蘭はぼやいてみせた。
 今は穏やかな日差しの降り注ぐうららかな昼下がり。陽光を反射した川辺を覆う草がゆるやかな風に撫でられて、まるで川面にも似た様相をみせていた。
 香蘭は朝からずっとこの場所で過ごしていた。本来こんなところでのんびり出来る身ではないのだが、やるべき事から逃れたいために逃げ出してきたのである。
「羨ましいっていうのなら代わってやるわよっていうのよ」
 ぶつぶつと一人ごちながら、香蘭は一つ欠伸をした。
「・・・ばかみたい」
 ぽつりと呟いて、すぅーっと彼女は眠りに吸い込まれていった。


生まれるずっと前からその誕生を予言されていた娘・香蘭。
 彼女は《占家》と呼ばれる古くから続く由緒正しき家の血筋を継いでいる。だが、予言を背負って生まれた彼女の誕生を、ある者たちは喜び、ある者たちは嘆いた。
 何故なら、香蘭に背負わされた宿命とは、世界の安定と引き換えにその身を捧げる、《倶融》という名の、特殊な存在というものだったのだ。


 春来節という祭儀があった。十二節句のうちの一つで、春の訪れを喜び今年の農作物の豊饒を祈る行事である。
 祭儀を取り仕切るのは、占家に名を列ねる者たちであった。
 その中には香蘭も含まれる。
「・・・らんっ、香蘭! お待ちなさい!」
 バタバタと高い足音を追うかのように、甲高い声が屋敷中に響いた。
「いやよ、絶対に祭儀には出ないんだから!」
 背中に投げつけられる言葉に反論して、扉を壊さんばかりの勢いで香蘭は屋敷を飛び出した。身軽な仕草で塀を飛び越えてしまえば、もう彼女を追える者はいない。
 小さな妹を追いかけていた芳蘭は走りを止めて息をついた。
「まったく、仕方のない子ね」
 そう言いつつも、言葉の雰囲気は先ほどの叫び方に比べたらずいぶんと穏和なものへと変化している。
 末の妹の香蘭は、周囲の期待と不安を一身に受ける子。だから家族はその負担を軽くするために、許せる限りの自由を彼女に与えていた。周囲から見れば単なる我が儘娘にしか見えないかもしれない香蘭だが、この先に彼女に訪れる事を思えば、どんな我が儘でも許して上げたいと思う。
「さて・・・渡良にはなんて言い訳しようかしら・・・」
 香蘭の養育係を勤める老爺にどうこの事態を伝えたらいいべきか、芳蘭は考えつつ奥間へと姿を消していった。

「うー・・・ん・・・」
 草の葉に頬をくすぐられて香蘭は目を覚ました。
 眠りについていたのはほんの一刻程度だったようで、香蘭が目を覚ました今も太陽の位置は先ほどとそう変わってはいない。
 屋敷ではそろそろ本日の祭儀が終わる頃だろうか。
 姉の芳蘭の制止を振り切って飛び出してきたものの、やはり少しは気にはなる。
 占家の末姫である香蘭は、長姫芳蘭や中姫鈴蘭と共に母であり占家当主の諷規の祭辞の助力とならなければならない立場にある。しかし、厳粛な場の苦手な香蘭には、とても苦痛な役回りにしかならない。しかも、姉たちとは違い「その場にいる」ことだけが仕事だから尚のことだ。
 とはいえ、「苦痛」を理由に逃げ出したので、母に申し訳がないと思うのも事実だった。
「ごめんね、母さま」
「だったら、屋敷に戻りなさい」
「え、鈴姉さま?」
 小さく謝罪の言葉を述べると、それに答えるように香蘭の頭上から鈴のような軽やかな声が響いた。
「どうしてここが分かったの?」
「さあ、なぜかしら?」
 香蘭ががばっと体を起こすと、声の主である彼女のすぐ上の姉の鈴蘭が微笑んで隣に腰を下ろしてきた。
「あんまり心配を掛けさせないでちょうだいな。分かっているんでしょう?」
「・・・はい」
 一番上の姉芳蘭は、香蘭に対して大変甘く香蘭自身もそれをよく分かっているのでやりたい放題だったが、二番目の姉鈴蘭にはそれが通用しなかった。確かに他人に比べれば大目に見てくれる機会は多いが、叱るべきところは身内の誰よりも厳しく叱る、香蘭からすれば少し苦手な相手だ。でも、愛すべき家族であることに変わりはない。
「明日の式典には出られるわね? 明日は君聖もお出ましになられるのだから、今日みたいなことをしちゃ駄目よ?」
 ぽんぽんと香蘭の頭を鈴蘭は優しく撫でる。
 香蘭はわずかに頷いて「ごめんなさい」ともう一度呟いた。
 それが聞こえたか聞こえなかったか、鈴蘭は立ち上がると香蘭にそっと手を差し出した。
「さあ、戻りましょう。体を冷やして明日に支障が出ては大変だものね」


 《倶融》とは世界のために身を捧げる者。
 いずれその身は大樹となり、悠久の時を世界の栄華と共に過ごしゆく――。

〜 終わり 〜





= 補足(文字の読みと、簡単な解説です)=

・香蘭(コウラン) : 《倶融(クユウ)》の少女
・芳蘭(ホウラン)
・鈴蘭(レイラン)
 : 香蘭の姉たち
・唐樹(トウジュ) : この話の主な舞台となる世界
・君聖(クンセイ) : 唐樹の統治者の称号

この話は「双界記」と名付けたシリーズ(堂々と言うのは恥ずかしいですが・・・)の一つです。このシリーズでは、単純に二つの世界を舞台に話が進む構成になっています。
今回掲載させて頂いた「守獣双界記」という話では、「唐樹」という架空世界と「海苑」と名付けられたこちらの現実世界と、二つの世界がベースになっています。
異聞ということで、今回は登場人物の一人・香蘭の目線で短い話を作りましたが、本来は海苑出身の高校生の男の子が主人公のお話です。


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7.覚悟 
8.約束 clear!
9.移り行く季節 
10.音色 
11.いっせん clear!
12.安らぎ 
13.躊躇い 
14.プレゼント 
15. 
16.束の間の休息 clear!
17.戦火 
18.波間 clear!
19.いかないで 
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